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遅まきながら [本]

テレビで紹介されていて、上橋菜穂子著「精霊の守り人」という物語を読んだ。
面白かった。
久しぶりに、北海道のコロポックルや九州のカッパなど、どうしているだろうかと思った。

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20代後半に、夏目漱石の後期の小説やイギリス女流のエリオットやオースティンを少し読んだ事があったが、およそ物語は苦手だった。
数年前に、里中満智子著「天上の虹」を途中で放り出さずに読み進んだ時には、自分の変化にビックリしたものだ。
歳を取ったからか、「聖書?」から「ビックリマン?」まで物語は面白いものだとやっと気が付いたと亡夫に10年程前に話した事など思い出した。

贅沢な時間の中で、楽しい夏の読書だった。

播磨灘物語 [本]

今年の大河ドラマで岡田君の黒田官兵衛が始まった。
何も知らないので、何か読んでみようと思い立った。
お正月に「のぼうの城」キンドル版がスイスイ読めたのでいい気になっていた。
ドラマの原作も分からず、適当なキンドル版も探せず、結局、司馬遼太郎の「播磨灘物語」を図書館で借りてきた。
これが何とも骨が折れた。なかなか進まないのだ。
結局2カ月弱かかってやっと読了。
昨日はまだ中国大返し天王山を読んでいた。

兵庫県、中国地方は土地勘がない。
地図帳とネットと首っ引きで読んだ。
そういえば、40年も昔、大阪の友人宅へ遊びに行った時、中国自動車道ができたからと、小野市、三木市へ連れて行ってくれた。
あまり記憶はないが、今で言う里山の風景に「普通名詞の”ふるさと”みたいな所」との感想を持った。
そしたら、そんな童謡の作者の碑があったので、自分の勘?にまんざらでもと思った記憶だけ。
後にヨルダンで彼の地の人の思う普通名詞の”ふるさと”に接し、子供のころ絵本で見た聖書物語のキリストさま磔の場所は、日本で言う河原などの荒涼とした場所だと思っていたが、そうではなく”ふるさと”の原風景かもと思ったことなど、横道にそれながら、楽しみながら、やっと読了。

古田の血を引くご先祖様が明治維新の時に博多黒田藩の家老職にあったとか聞いていたが、高山右近と中川清秀の所で古田織部が出てきた。
司馬官兵衛では天王山までで、後は秀吉は三成などの官吏を重用し官兵衛も秀吉から離れた。
気が乗らない朝鮮出兵と関ヶ原時に九州で活動する事に少しふれただけですぐ終わる。

それにしても、人が良く動く。心も動く。商業・流通・貿易・・・米から貨幣へ
生き生きとした時代だったようだ。
司馬官兵衛は合理主義精神を持ったクールな黒田官兵衛となっているが、大河ドラマの官兵衛はどのように成功して行くのだろうか?

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私のヨーロッパ [本]

塩野七生著「海の都の物語」を読了。
4月下旬から3か月がかりで、やっとの思いだった。

4/22に図書館で借りて、最初のページを見て「思った通りの事が書いてある!」と嬉しかった。
強い勢力に押し出されるようにしてラグーナへ渡った人達が、何もない所から、知恵と才覚だけで、海に乗り出し通商の道を開き、尊敬される国を長い間保っていた歴史の物語だ。

上巻は、実家に泊まりながら、何とか図書館の期限で読んだが、下巻は何と2か月もかかった。

40年も昔の学生の頃、「花椿」という資生堂の広報リーフレットがあった。
そこに塩野七生さんという若い女性の、イタリアの連載があった。
自分といくつも歳が違わないのに、この人は既にイタリアのプロフェッショナル、一体どんな勉強をしたらこんな風になれるのだろうと思った事を思い出す。

同時期、「ミセス」という雑誌に犬養道子さんが「私のヨーロッパ」を連載していた。
こちらにも、深く興味を持った。
日本でも中国でも「算術・測量術」と職人の技術でしかなかった数学が、ヨーロッパではScienceが確立し、このモノの考え方、推論の共通言語として存在していた事をどうしても残念というか少し悔しい想いでいた学生の自分があった。
Rationalismを知った。
高校で習ったベーコン・ロックから・・・大陸へ進み百科全書派・・・自己の確立・・・
興味深かった産業革命・・・ほとんど忘れてしまったが

その上で、では、内なる日本的なものとは一体何?
一神教、uniqueな真理の存在との関係は?

私にとっては、英語を学ぶ事と茶道を学ぶ事は同じラインの上につながっていた。

言葉を使って人は考える。言葉を学ぶ事は、考え方を学ぶ事。
型を真似、身体で覚えた時には、その心が分かっている。

その後、犬養道子さんの著作は少し読んだ。
人と場所(地理)の関係や個人主義的生き方などを知った。
特に「人間の大地」は、2人目のお産の後、初めて読んだ本で、印象が強い。
それらの本にずいぶん影響を受けて、その後の人生をやってきた様に思う。

塩野七生さんは、「コンスタンチノープルの陥落」を面白く読み、イスタンブールに行ってみたいとずっと思い続けている。歴史を記述するとはこういう事かと思った。
しかし、文芸春秋の「日本人へ」だけで、その他の著作には、手が出なかった。
だんだん彼女も、犬養さんの風貌になって来た。

そして、友人に連れて行ってもらったベネチア旅行の帰りの機内で、都市国家としての独立と自由を守る富の蓄積を目の当たりにしてやはり読もう!と4/22の発言へとつながる。

しばらく休んだら、次はフィレンツェの話、ミラノの話、・・・楽しみだ。
地理だけでなく歴史も面白くなってきた。

ミラノでは、ローマの遺跡がルネッサンス以降の建築の中に混在していた。
街のスケール、道路の幅とトラムなどの交通機関、建物は道路に面し中庭があり、部屋毎にインテリアデザイナーが必要な職業になる訳だ。

そして何より、夫から学ぶ事が多かった。

今回の旅行の総括として、このように私のヨーロッパは造られてきたように思う。

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天上の虹 [本]

まとめて休みを取り、夏休みとした。

先日、里中満智子さんをテレビ番組で拝見した。
明日香村を訪れ二上山を眺めながら、万葉時代のいにしえ人達について、静かに想いを語っていらしたのを聞いて、「天上の虹」という作品を読んでみる気になった。

私は、古典は全くダメ人間で教養がないのだが、地歴は大好き。
昔も今と同じように、ワイドショー顔負けの政変やスキャンダルがあったに違いない。
しかも、今よりもっと結婚が自由で簡単?
女性は時間軸に沿って縦に次々と結婚し、男性は同時進行で横に複数結婚していたとか。

ネットに飛びついて探してみると、ありました。
持統天皇のお話全6巻(文庫)、お値段を比較し、最安値のセットで購入。
そこのページには「コミックのオトナ買い」とタイトルが付いてた。

何しろ、昔「ベルサイユのばら」が続かずにすぐにギブアップした前科者なので、続くかな~?
筋ばかりを追ってしまうので、心情の描写が続くとスキップしてしまうかも、まあ、少しは教養が身に付くでしょうか?


読み始めて、あ~これが少女漫画の世界というものかと思った。登場人物は、恋愛の対象として存在している。
壬申の乱までは進んだが、それからは飽きてしまった。また同じ事が起こるの?
だれながらも何とか終りまで来た。里中さん申し訳ありません。

歴史で習った人物が(試験の為に書き取り練習をして覚えた名前)生身の人物として再認識できた事は良かった。古典のできる人達は、当時から「吉田の兼ちゃんも悩んで大きくなったのかな」的な親しみを持っていたようだった。
古典がからっきしダメな私が、試験の時には問題文も読まずに、回答の選択肢の中から、人間関係が一番複雑そうなものを選んで回答していた事も、あながち大外れではなかったと納得した。

それにしても、登場人物の血縁関係の難しい事と言ったら、大変だった。

そして、心はムクムクと三岐地方への興味に惹かれる。
そこは私の空白地帯だった。先日の長谷寺参りの帰途に、地図と車窓の景色を見て興味を持ったのだが、琵琶湖-奈良盆地-明日香村-吉野-伊勢が表街道だとしたら、その裏街道として吉野-伊勢-名張-甲賀-鈴鹿-桑名-関ヶ原-琵琶湖のようなルートがあってもおかしくは無いと思うようになった。まさに壬申の乱で大海人の皇子が上ったルートになる。確かにそう習ったのだが、それは、日本武尊が何処でどうしたと言うのと同様の伝説的な話として残っていただけだった。

645年から689年までの物語だった。さて、この先は・・・万葉集などは読めないが、藤原氏の台頭まで話がつながるのか?

そして、三重県と岐阜県の県境は長く三重県と愛知県の県境は短く、実は同様に埼玉県と群馬県の県境は長く埼玉県と栃木県の県境は短い事を最近知ったばかりなのだった。(関係ないけれど)

風土とそこで暮らした人達の歴史に心惹かれる。


天上の虹―持統天皇物語(第一期) 全6巻セット  講談社漫画文庫

天上の虹―持統天皇物語(第一期) 全6巻セット 講談社漫画文庫

  • 作者: 里中 満智子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2002/02/08
  • メディア: 文庫



〇〇史観 [本]

「利休にたずねよ」を読了。
久しぶりのフィクションだった。
直木賞と言う事で評判は高かったようだが、時間軸が逆に流れ早く先を読みたくなる様な展開ではなかった。終わってみれば、最終章は無くても良かったかもしれない。
そういえば、「信長の棺」以来だったかな?
テーマが違い比べてはいけないのだろうが「信長の棺」の方が、ダイナミックな展開で面白かった気がする。

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時代が面白く、タイトルに惹かれたのだが、秀吉に対する認識を少し深めた。
あれだけの事を成した秀吉に彼なりの見識があって然るべきなのだが、うっかりしていた。

夫が利休と同じような世界で仕事をしていたので、何となく分かる所もあった。
今ならさしずめ、佐藤可士和さんは?中村勇吾さんは?安藤忠雄さんは?・・・いつの時代もクリエーター(プロデューサー)とスポンサー(施主)の関係はビミョウ

そして、老化に伴う腰痛で正しい立ち居振る舞いができない事を言い訳にサボっていたお茶のお稽古を春になったら再開しようと思った。

私は、あまり本を読んではいないが何となく、日本史は司馬史観、西洋史は塩野七生史観+犬飼道子史観、東洋史はNHKシルクロード史観(三国志は未読なので)かな?と思っている。歴史と文化は面白く、さらに見聞を深め自分なりに思う事ができたら楽しい人生となるだろう。
「温故知新」ができるかな?

巡山 [本]

昨年は、谷川岳へ登った。
今年は伊吹山へと思っていたが、秋のチャンスに、お茶会があったり病人がいたりと逃してしまった。関ヶ原から北国街道になぜか惹かれる。
結局、ハイキングシューズは一度も履かなかった。

代わりに、9月の台湾で素敵な本に出会った。
書名は「巡山」、著者は「劉克襄」氏、台湾の百名山みたいな本だった。
見開きで、一山、線画の山容のイラストの上に、山の記録、著者が登山した日、見かけた鳥などのスケッチ、感想の詩など
言葉が分からないので、読めないが、漢字なので眺めていると何となく分かった気になる。
玉山はニイタカヤマで3952公尺(m)とか、・・・
モダンな大型書店(何嘉仁書店 www.hess.com.tw)で平積みにしてあった。表紙イラストが筆線画の大霸尖山の山姿で素敵だ。旅行の記念になった。

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この1年、皆さまと出会えて、ありがとうございました。
ご家族お揃いで、健康第一で良いお年をお迎えください。


博士の愛した数式 [本]

小川洋子著
「博士の愛した数式」

古い友人のお嬢さん(若いのに母親を亡くしご苦労が多かった)に久しぶりにお目にかかり、"数学科を出ているのなら、是非読まなくては!"と勧められて、夏の終わりにやっとの事で読了。
登場人物たちが、皆何とお互いの気持ちが分かり、その気持ちを大切に暮らして行ったのかという良いお話でした。
特にルート君が、生まれながらに人の気持ちが良く分かる良い少年です。
私も何となく好きな数とあまり気持ちの入らない数がありますが・・・
多くを欲張らず、自分の世界をしっかり生きて行こうと思いました。
勧めて下さった彼女に感謝し、皆が穏やかに幸せを感じられますよう祈ります。

庭の片隅のホトトギスです。


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センス・オブ・ワンダー [本]

tanaka-ma3のブログで紹介されていた「センス・オブ・ワンダー」を著者のレイチェル・カールソンの名前に惹かれてAmazonのユーズドで入手して読了。
30年以上昔、学生だった頃公害問題を知りました。私はヘドロの海で遊んで育ったのでした。
"Silent Spring"は結局読まないまま今日に至っていますが。今では環境問題と呼んでいますね。

この本自体は皆さんのブログのように美しい写真があり、難しくなく、すっと読めました。早く読み進むのがもったいない様に思えました。
”美しいもの、未知なもの、神秘的なものに目を見はる感性[センス・オブ・ワンダー]を育むために、子どもと一緒に自然を探検し、発見の喜びに胸をときめかせるー”と帯にありました。
そして、懐かしい子供の頃のワクワクした思いが蘇えってきました。
停電した吹雪の夜に外へ出て遭難体験をしてみる、夕立の後虹を探しに外へ出て思いがけず大きく天空にかかった虹を見つけ動けなくなる、四葉のクローバーの秘密場所で飽きずに探す、草原に寝転んで空を流れる雲を見ながら息を止めて「今!」と言っても、もう今ではなくなっている・・・
チョット分かった気がしました。
遠足の時に「はまって危ないから、池塘に気を付けなさい」と言われているのに、必ず、はまって全身ぐしょ濡れになる生徒がいました。でも、本当は、はまってみたかったのですね。皆、そうしたかったのですね。彼は、自分の心が正直に分かり、心に従わないではいられなかったのですね。
センス・オブ・ワンダーとは、素直に自分の心の求める物に耳を傾ける事、勇気を持ってそれを実行する事なのですね。それを啓いてくれるのが自然なのですね。
”子ども達への一番大切な贈りもの”とありますが、うちの子供達にこのような体験をさせてやれていたかしら?
良い本でした。


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ウェブ進化論 [本]

梅田望夫著「ウェブ進化論」読了
面白かった。
私の捉えた要約は
サイト空間をあちら側、個人のPCをこちら側として、マイクロソフトはこちら側で大成功したが、グーグルは、あちら側で革命を起こしている。
塵も積もれば山となるが、塵を集めるコストが塵より高くつくので今迄は捨てられていた。ロングテールというらしい。今は、膨大な量を人手をかけずに集められる。(リンクのロボット型検索など)
玉石混交の中から玉を探し出し、山にするのにネットでPC(人手ではなくプログラム)を使うと低コストで情報の整理が出来る。
さらに、オープンにすることにより、善意の協力が得られ、良いテーマにはコメントやトラックバックが付いて広がり情報が淘汰され洗練されて行く。
サイトをオープンにしてAPIを開放するとWEB2.0(今はWEB1.0)の世界が展開する。
ヤフーや楽天はこちら側を囲い込む事に熱心だがこれはWEB1.0で、反対なのでは?
そこがグーグルが革命的な所だと筆者は言う。
では、物書きや新聞やテレビなどある程度情報の精度と内容が保証される世界は意味が無い?消えて行く?イエイエ、ちゃんと残ります。(NHKTVの「テレビとネット」でも同様の問題が取り上げられていた)
プログ・ウィディペキアなどが全体と個の関係で上記のコンセプトのインスタンスとして示され、さらにリンクだけでなく皆がブックマークをWEB上に公開する事により検索のヒットのランクが出来る。ユーザーはいつものように振舞っているだけで世論形成?の塵として一役買える。
若者達が、楽観主義と好奇心を持ち、新しい情報革命は緩やかに進むだろう。
これはテキスト(言葉)の世界の話で、画像や音の世界や情報の評価に人を介在させる事については、逆転もありかも。といった所でした。
私の感想
Windows95の世界でもはや化石であった私は、グーグルにはかなわんなぁ~と思いました。コンピューターは管理・被管理がない所が面白いのですが、これがネットにドンピタはまります。
さらに広がるネットの世界に、何とか付いていって楽しめたら良いな~、気軽に好奇心と行動力を塵ほど表現していきたいものです。逆引き検索(自分の鼻歌から曲名やアーティストが見つけられるような、花の写真から植物図鑑が引けるような)が出来たら便利だろうと思いますが、これは所謂パターン認識?
何を言っているのか良く分からない事と思いますが、余裕のある方は、一読をオススメです。


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